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言いたいことなんてありません。

俳優 佐々木恭平が公演情報とか見た映画とかあと何か適当にいろんなことを書くブログ

四文字熟女

草木も眠る丑三つ刻。
よりはだいぶ早いものの深夜に分類される時間。
ギンギラギンにさりげなくネオンきらめく華の街ザ・ギン。
またの名を、銀座。

 

立ち並ぶビルは主役を奪い合うように光で飾られ、驕り高ぶったきらめきで夜の闇さえ消し去らんばかりだ。

 

…この街は眩しすぎる。

 

人は光だけでは生きられない。

そんな簡単な理屈すら忘れてしまったのかこの街は。

心の中で軽く毒づきながら歩を進める。

安息を求めて暗がりへと消えて行く男女を横目で見送り、そのまま視線を斜め後ろを歩く女へと流す。

 

いわゆる流し目、というやつだ。

 

こちらの狙いに気づいているのかいないのか、女は喋り続けている。

やれやれだぜ…。

軽く肩をすくめ、もう一人の女(ややこしいのでMとする)へと視線を流す。

何時間か前にカレーとラーメンを食べたせいで胃の調子が悪いと言っていたが、今は薄着すぎたことを後悔しているようだ。

 

知らんがな。

 

思わず口から漏れそうになる言葉を寸前で飲み込んで女(一人目。やはりややこしいのでSとする)の話に相槌を打ち、ついでに軽く質問もしてやる。

これでしばらくはまた勝手に喋るだろう。

Mは寒がりながらも話題に乗る。

誰となら付き合えるか、などという修学旅行生のような話題がどこまでも広がっていく。

女は共感の生き物だ、というのはどこで聞いたんだったか。二人の男の趣味が似ているらしく、お互いの似たような評価を確認しあっている。

結論は単純だ。イケメンならイケる。

 

馬鹿馬鹿しい。

 

イケてるメンズでイケメンなんだろう?

イケるに決まってるじゃないか。

そのあたりの評価基準はどうなっているんだ。

どこからがイケてどこからがイケないんだ。

俺はそこに入るのか入らないのか。

俺が気になっているのはそこだ!!

先ほどから遠回しにイケメンの基準について質問してはいるが全く要領を得ない。

直接聞いてみるという手段は無しだ。

俺の砂糖菓子のように繊細なメンタルが粉砕されるかもしれない。

しかもだ。

ただでさえわかりにくいのに、さらに面倒なことにイケメンの中でも繊細な評価基準があるらしい。

 

知らんがな。

 

3分18秒ぶり6度目の「知らんがな」が出かかったあたりでSが更に話題を発展させてくる。

 

「四文字熟女がぁ」

 

熟女は二文字だ。

あとの二文字はなんだ。

四文字あったら何ができるというのだ。

三文字熟女もいるのか。

五文字は。

六文字は。

何文字熟女までいるのだ。

そもそもなんだそれは。

 

ひたすら尻文字を書く熟女、書道の筆の毛を一本一本裂く熟女、卵の殻を割って現れる熟女など様々な姿をした四文字熟女が想起される。

何ひとつとしてこれだというイメージにたどり着けないまま、生み出された四文字熟女達は頭の中でランバダを踊りはじめた。

四文字熟女の正体を暴かねばとやっきになればなるほど四文字熟女は増え、ランバダもまた激しさを増していく。

 

もう限界だ。

思考回路はショート寸前。

月の光に導かれ何人も生まれ出る四文字熟女達。

 

こんなはずじゃなかった。

今夜はザ・ギンでミラクルロマンスの予定だったはず。

何故だ。

何故こうなった。

 

いよいよ四文字熟女ダンサーズはクライマックスに突入している。

 

俺は手に持った袋から重い方の木刀を取り出した。思い切りふりかぶる。

スイカのように割れろ。

祈りながら頭に打ち付ける。

 

痛い。

 

 

 

痛みで我にかえる。

 

四文字熟女ダンサーズは消えていた。

二人の女も消えていた。

ついでに俺の邪な目論見も。

 

ギンギラギンにさりげなくネオンきらめく華の街ザ・ギン。

またの名を、銀座。

 

やはり俺にはこの街は眩しすぎる。

 

まだ、終電間に合うかな…。

 

 

 

 

うん。結末が雑。

四文字熟語を噛んで四文字熟女ってなんだよ。